inquirenda inquiremus

尋ねるべきを尋ねましょう

やりたいことあれこれ

ブログを始めようと思うもののこれといって書きたいことがありません.書きたいことがないのはなぜかというと,まとまった主題がないからです.なぜこれがないのかといえば,近ごろ大きく取り組んでいるものがないからとなる.

ブログに何かを落とすかはともかく,こういうのは生活の彩りの点で何かと問題が大きい.さしあたりやりたいことをまとめてみます.とっ散らかった話で恥ずかしいけれど,とにかく書き出してみないと始まらないので.優先度をつけてそれぞれ詳細化してプランを練るのはその後の話.

数学

院時代に勉強会で学んだのがメイン.じぶんで成書で学んだのは論理学(Enderton),集合論(Enderton),線型代数(齋藤正彦の古いほう),ゲーム理論(グレーヴァ)とかかしら.これらでさえ,一部を読んでいなかったり,正直大部分を雰囲気で済ませていたり,そもそも時間が経ってしまい,抜け落ちたところが多かったりです.漠然と勉強したい気持ちはあってもあまりこれという目標がなく,とくに差し迫ったものもないため,やる気が起きません.目下は,手を動かして学ぶシリーズを進めてみるとか,とりあえず具体的な目標は棚上げして本をやりきることを目指すのがよいのかも.

言語学

大学院に入ったとき,才能のある子にはお金をあげるよプログラムに応募するのに,なぜか言語学の本を読むことになってしまいました.それは間に合わなかったけれど,課題図書から選んだHeim & Kratzerが面白かったので,この方面は勉強したいと思っています.言語学も,さしあたりあまり興味が強いわけではないのに加えて,いま勉強したいかというと微妙.田中『形式意味論入門』と阿部『生成統語論入門』を買ってそのままにしてあるので,これらをタイミングを見つけて読むとかはしたいかもしれない.あとは語用論のよい教科書が英語か日本語であればそういうのも読みたいです(Birnerのものを読むかと思ってずっと積んでいる).

茶論

お茶は飲むばかりで理屈をよく知りません.もちろん飲むなかで或る程度知ること覚えること身につくことはあるけれど,かなり断片的です.中国には国家標準というのがあるのでそのまとめみたいなもの(郝连奇(編)『中国茶叶产品标准』)を読んで勉強したり,あとはそれぞれの茶についてのもう少し高級な文献も読んでみたいと思います.

中国語

茶論のためにも中国語を勉強したい.

哲学

長らくの専門はデカルトでした.デカルトについては,なので,専門的にどうしたいか,といったところでしょうか.道徳論かなあ,と思います.あまり顧みられることがなく,顧みようもないほど関連テクストの量がわずかなのですけれど.しかし,メタ倫理の面でおもしろいことを述べている,と理解することはじつは可能であると思います.隠れているアイディアを形にしたり,このときに文献の跡づけをまともな手つきで行ったりするのが大変なだけで,わりといえることはありそうです.長らく方法論や懐疑論に関心を寄せていたので,この点も考えはそこそこ溜まっており,本当は形にして世に出さないといけないとも思っています.完璧主義のいいわけで面倒がりなのがよくない.この分野の後進として教育や指導の恩恵を受けたなりの義務はあると思うから.

ホッブズもほんの少し研究しました.この方面は,日本は政治思想史の研究がけっこう厚いと思うけれども,英語圏ではこれに加えて現代政治哲学からの関心で長らく研究されていると思います.後者はあまり日本だと知られないし,そのアプローチの研究者も数人いるかいないかではないかと思う.大陸西欧ではフランスを中心に,ホッブズの理論哲学の研究もそれなりに盛んですけれど,これも少し紹介されたのを除けばあまり知られない.わたくしも,やるとすればメタ倫理とか,このひとの学問方法論とかの点でしょうかね.具体的にはあの箇所のテクストかなとかいろいろあります.あとは,未邦訳のものの翻訳とか,参加の機会があれば,というところです.

お勉強という感じのところでは,英語圏倫理学や政治哲学の最近の文献をあまり読めていないのがけっこう辛いので,読書会にでも参加したいとは思います.読んだことのない教科書のチェックとかもしたい.言語哲学も『大全』の新版を確認したいとかはあります.あまり馴染みのないのだと,科学哲学は少しも知らないなりに教養として勉強したい,という気持ちでいます.

あと,わたくしは分析美学にあまり関心がないのですけれど,日本でいわゆる分析系の哲学に関心をもつ非哲学分野のひとの(特に比較的センスがありそうな一部の)多くが,美学の方面から入っている印象です.学習環境の整備具合がダントツだからというのもあるのかしら.むかし邦訳の教科書を読んだきりですけれど,邦書でいくつか硬派のものが出ているので,このあたりは確かに面白そうなので読んでおこうかしらと思います.

それから,もっとざっくりした話になりますけれど,現代のフランス哲学とかね.千葉雅也さんの書いたものはツイートも含めていたく感心しながら拝読します.こういうのであればたくさん読みたい.しかしデカルト研究やスピノザ研究でも,あまりその色が立っていた場合は正直つらかった思い出しかないので,何でもかんでも読みたいかというとやはり微妙です.

関連でいうと,前世紀フランスのエピステモロジーとか,哲学史研究史とか,その辺の暗黒部分が最近わりと掘り返されている印象です.ゲルーのマイモン論が出たり.ゲルーというひとはたいへん偉く,デカルト研究,スピノザ研究,マルブランシュ研究,ライプニッツ研究で,分野の基本となる研究書を残しています.デカルト研究は学部生のときに熱心に調べました.当時は粗ばかり見つかりましたけれど,いま時折読むと素朴ではあれよく整って書かれたものという感想になります.今でも読む価値があります.そして,このひとはカントやドイツ観念論についても功績があります.哲学史方法論の本などもあります.凄まじい学者だと思います.しかし,デカルトのやつなんかは,やはり特有の時代的な空気とか,癖のようなものをなんとなく感じないではない.この辺を解き明かしてもらえると面白いなとかは個人的には思います.